見せつけられた力の差、落合竜Gに3連敗で終戦。
ダメージ残る逆転負けで、実質1勝3敗。
日本シリーズに進出するためには、残り3試合、
すべて勝たなくてはいけない状況となったドラゴンズ。
迎えた東京ドームでのCS第2ステージ・巨人との第4戦。
しかし先発に立てた中田が立ち上がりから大乱調。
自らの失策と適時打で2点先行されると、
3回には谷の満塁本塁打などで一挙5点を奪われ早々とKO。
何とか反撃したい打線は、5回に1死満塁の好機を作るも、
1点しか挙げられないなど、決定打を欠く始末。
その後も相手の継投にかわされ、勝負あり。
1勝4敗となり、シリーズ敗退が決まったドラゴンズ。
2009年のシーズンは、この日で終幕となりました。
◇クライマックス セ 第2ステージ 巨人-中日 第4戦 (24日・東京ドーム | 中日1勝4敗) | ||||||||||
46535人 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
中 日 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
巨 人 | 2 | 0 | 5 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | × | 8 |
[敗] 中田(1試合1敗) [D本] ブランコ2号 | ||||||||||
[Dバッテリー] 中田、パヤノ、小林正人、河原、ネルソン、伊藤準規 - 谷繁 |
◇対巨人第4戦・スタメン
1 (遊)井端 (4打数1安打)
2 (二)荒木 (4打数1安打1打点)
3 (三)森野 (4打数無安打)
4 (一)ブランコ (4打数1安打1打点)
5 (左)和田 (4打数無安打)
6 (右)野本 (4打数1安打)
7 (中)藤井 (2打数無安打)
8 (捕)谷繁 (4打数2安打)
9 (投)中田 (0打数無安打)
【イニング経過】
<1回・中日> P・東野
井端外カーブ高いバウンド二ゴロ、荒木高めスライダー空三振、
森野中フォーク高いバウンド一ゴロ
<1回ウラ・巨人> P・中田(中4日)
坂本中高めカット左翼線落ちる二塁打、
松本一塁方向バント・中田一塁へ大きく逸れる悪送球(D 0-1 G)
小笠原外直球外れ四球、ラミレス内フォーク空三振、
1死一、二塁から、亀井初球外高め直球中前適時打(D 0-2 G)
1死一、二塁から、谷内フォーク空三振、阿部内直球左飛
<2回・中日> P・東野
ブランコ中直球投返し東野うまく止めて投ゴロ、
和田内直球詰まり遊後方フライ、
野本外直球左中間突破二塁打、
2死二塁から、藤井内カーブ一塁線ゴロ
<2回ウラ・巨人> P・中田
古城内カット遊直、東野外スライダー遊ゴロ、坂本外直球見三振
<3回・中日> P・東野
谷繁外フォーク右前抜けるヒット、中田投犠打、
井端外スライダー二ゴロ進塁打、
2死二塁から、荒木粘るも内直球スイング取られ三振
<3回ウラ・巨人> P・中田
松本外直球外れ四球、小笠原5球目松本二盗、
小笠原内高めカット引っ張り右前打、
無死一、三塁から、ラミレス内直球三遊間破る適時打(D 0-3 G)
亀井一塁方向セーフティバント中田捕るも投げられず内野安打、
無死満塁から、谷中高め甘いカット打った瞬間バンザイ・
左中間スタンド飛び込む満塁本塁打(D 0-7 G)
阿部外カット抜け四球・中田KO
P・パヤノ
古城内直球打ち上げ三飛、東野投犠打、
坂本2球目パヤノ暴投、坂本外低め外れ四球、
2死一、三塁から、松本外直球見三振
<4回・中日> P・東野
森野外カーブ二ゴロ、
1死から、ブランコ初球外直球右方向・
ライトポール際上段持っていく本塁打(D 1-7 G)
<4回ウラ・巨人> P・パヤノ
小笠原中低め146キロ空三振、ラミレス強い三ゴロ、
亀井中チェンジアップ一塁線ゴロブランコ追いつくも
パヤノベースカバー遅れ内野安打、谷中チェンジアップ空三振
<5回・中日> P・東野
藤井内直球打ち上げ右飛、谷繁外高め直球右翼線ヒット、
代打井上(現役最終打席)
2-3から内高め直球一ゴロ亀井弾いて後逸エラー出塁、
井端外スライダー中前抜けるヒット、
1死満塁から、荒木外スライダー叩き中飛球・
松本前進ダイブ及ばず落ちて適時打(D 2-7 G)
P・越智
1死満塁から、森野外フォーク空三振、
2死満塁から、ブランコフォーク連投・中フォーク空三振
<6回ウラ・巨人> P・小林正人(5回頭から登板)
坂本外シュート右翼線落ちる二塁打、松本投犠打、
1死三塁から、小笠原内シュート見られ四球、
P・河原
1死一、三塁から、ラミレス初球外スライダー・
一塁方向高いバウンド投ゴロも本塁投げられず(D 2-8 G)
<7回・中日> P・豊田
代打小池中低め直球遊ゴロ、井端内フォーク空三振、
荒木外カット一二塁間ゴロ古城追いつき好捕
<8回・中日> P・山口
森野外低めスライダー空三振、ブランコ外チェンジアップ空三振、
和田内スライダー空三振
<8回ウラ・巨人> P・伊藤準規
坂本中直球センターフェンス際フライ、
松本中高め直球中前打、
小笠原初球伊藤準規直球ショートバウンド暴投・松本二進、
小笠原内直球差し込んで中飛・松本タッチアップ三進、
2死三塁から、ラミレス外沈むカーブ空三振
<9回・中日> P・クルーン 三・寺内 中・鈴木 左・工藤
野本初球内フォーク叩きつけるも一ゴロ、
代打立浪(現役最終打席)カウント1-2から
外高め147キロ直球弾き返すも左飛・場内大歓声、
谷繁中直球引っ張るも三塁正面ライナー、試合終了。
(巨人・2年連続日本シリーズ進出決定)
【ゲームレビュー】
中日は3連敗。序盤の大量失点が響いた
中田が打ち込まれた。1回、自らの失策も絡んで2失点。
3回にはラミレスに適時打を許した後、谷に満塁本塁打を浴びた。
打線は4回、ブランコがソロ本塁打。
5回に相手ミスにつけ込んで1点を返しただけに終わった。
(公式サイト、中日新聞、共同通信社、ニッカン式スコア)
残り3試合すべて勝つしかないという
崖っぷちの状況のなか、何とか1つでも多く粘って、
意地を見せてほしいと願いながら、生観戦したこのゲーム。
しかし前夜の敗戦のダメージは殊の外大きかったようで。
チェン、吉見と崩れ去った中4日の先発陣。
最後の砦として先発した中田が、立ち上がりから大乱調。
制球定まらないうえ、自らのバント処理を誤り先制を許すと、
アウト1つ取るのにもアップアップの状況。
それに畳み込まれるかのように、
亀井の適時打で追加点を挙げられると、
立ち直ったかのように見えた直後の3回、
いきなり先頭の松本に対しボール先行。
四球を与えてしまうと、盗塁にヒットでつながれ、
ラミレスには初球を叩かれ、3点目。
さらに亀井には動揺をあざ笑われるかのように
バント安打を決められて、無死満塁。
何とか歯止めがかからないものかと願いながら、
次の瞬間に待っていたのが、トドメの被弾。
ここまで当たっていなかった谷に
真ん中に甘く浮いたカットボールを叩かれてしまい、
左中間スタンドへと伸びていく、痛恨のグランドスラム。
揺さぶられ、つながれ、畳みかけられての3回途中、7失点KO。
先手先手でいかなくてはいけないなか、
もっとも恐れていたワンサイド的展開に
あっという間にされてしまっては、なすすべなし。
何とか打線が反撃し、5回に荒木のタイムリーなどで、
反撃こそしたものの、やはり相手に流れがあるのか。
1死満塁の場面で、これまで不調だった越智の前に
中軸の森野、ブランコがフォークに連続空振り三振。
つないだ相手と対照的に、つなげないドラゴンズ打線。
それ以降も次々と繰り出される巨人リリーフ陣の前に
次々とバットが空を切るありさま。
最後は谷繁のライナーがサードのグラブに収まり、ゲームセット。
今季3タテを二度喰らった東京ドームで、
またしても実質3タテを喰らっての終戦。
2009年のドラゴンズは、昨年同様にこのステージで、
最期のときを迎えることとなりました。
レギュラーシーズン通算、8勝16敗。
クライマックスシリーズ、実質1勝4敗。
ナゴドで2度、そして東京ドームで3度の3タテ。
今季のドラゴンズには、最後まで巨人というのが、
大きなカベとして立ちはだかったってしまいましたね。
さらにこれでもかいうほど見せられた「力の差」。
主力個々の能力としては劣ってはいないものの、
チーム全体となっては、勝ることができない。
さらに大事なゲームでことごとく勝てない勝負弱さ。
落合監督は「巨人の力の差は何もないと思う」と
強がりましたが、今季においては何もないとは言えないでしょう。
ただレギュラーシーズン、ポストシーズン合わせて151試合。
主砲とエースが抜け、決して前評判も高くない。
さらに主力がキャンプをまともにできなかったなか、
それでもチーム状態を上げ、ここまで戦えたところは
やっぱりドラゴンズだったなとは思いましたね。
投手陣では、吉見、チェンの左右の二枚看板に、
川井が11連勝と大きく貯金をしてくれた。
さらに浅尾が不動のセットアッパーとして成長。
岩瀬への勝利の方程式を確立した。
一方、打線は開幕当初こそよくはなかったものの、
ブランコが5月以降一気に頭角を現して、
夏場やや疲れが出たものの、1年目のシーズンで二冠王。
そのブランコが不振の際には、脇を固める
森野、和田が調子を上げて、その分を補った。
井端も目の状態が不安定ななか、打率を上げ、
荒木も痛みに耐えながらも最後まで奮闘。
若手では骨折こそあったものの、
キャンプから必死に突っ走ってきた
藤井がようやく主力の一員として成長すると
それに続けと野本、平田らも1軍定着への伸びを見せてきた。
しかしそんなチームになっても、巨人との差があるということ。
その差を埋めるために「足りないもの」がまだまだあるということなのでしょう。
まあ敗れてしまったということは
それ相当の原因もありますし、反省点も多いもの。
ただ終わってしまったことにグチグチ言っても仕方ない。
それよりもまずは、ファンの1人として、
ここまで戦ってきて、その中でさまざまな感動をくれた
中日ドラゴンズの監督、コーチ、選手、
スタッフに、例年同様に感謝したいなと。
さらに引退される立浪選手、井上選手には
より一層その気持ちを示したいですね。
今後は数日間の休みをおいて、28日から秋季練習が開始。
「打倒巨人」へ向けて、より一層の厳しい練習が待っていることでしょう。
ベテランなどは、まずは体のケアをして、
中堅、若手は「伸びしろ」を伸ばすために技術向上。
さらに心身もしっかり鍛えて、来る来季への糧としてほしい。
就任7年目に突入する落合政権。
ドラゴンズの一時代を築いた立浪らが抜けることで、
また違う一面が見られそうな予感もしますが、
必ずや勝負強いチームとなって、宿敵を打破。
そして逃したV奪回を成し遂げてくれることを期待します。
この日現役最後の打席を終えた
立浪のコメントの中にこのようなものが。
「負けて終わるのは仕方ない。
ただ、悔しい思いをした選手には来年晴らしてもらいたい」
負けん気の強さでプロ22年間、数々の栄光を築き上げた先輩。
その意志を受け継ぎ、絶対に「やり返してほしい」。
そんなドラゴンズに一喜一憂し、最後の最後まで喜びたい。
そうなることを期待しながら、見守っていきたいと思います。
これからも頑張れ、中日ドラゴンズ!
★プレーヤーズ・ボイス(24日)
●中田賢一
<第1ステージ第3戦に続く中4日での登板。
球威、コントロールともベストの状態ではなく、
谷に満塁弾を浴びるなど、3回を持たず7失点でKO。
負ければ敗退が決まるプレッシャーの中、
マウンドに上がったが、ベンチの期待に応えられず>
「何もありません」
<見事なまでに散った。出直しを誓うしかなかった>
「力が足りない、というより、力がないです。
また一からやっていくしかない」
<今季初、3年ぶりの中4日先発だったが、
19日のヤクルト戦で140キロ台後半だった速球は、
140キロ台前半止まりと、前回の勢いはなかった。
中4日の影響については言い訳にはせず>
「(経験が)1回、2回じゃないですから。
(調整は)必死にやっているんですけど。
ゲームによって善しあしがあるピッチャーなので、
そこを何とかしていかないといけない。
原因は分かっているつもりなんですけど…。難しいです」
(中スポ、サンスポ、朝日新聞、スポニチ名古屋、ニッカン)
●森バッテリーチーフコーチ
<初回から球威と制球を欠いて
3回途中KOされた中田について、厳しい表情で振り返って>
「試合をつくれなかったな。先発が崩れるとこうなる」
<誤算は第1ステージ初戦の敗戦と5人目の先発投手。
初戦に敗れたことで、第1ステージで
3人目の中田まで使わざるを得なくなった。
さらに朝倉が右肩の違和感で第2ステージ第2戦の先発が消滅。
本来なら中5日のチェン、吉見、中田が1日ずつ繰り上がり、
その3人が投げた試合で3連敗した。来季の課題を挙げて>
「中4日は関係ない。
それよりシーズンでは5人目、6人目がいても
こういう試合で任せられる5人目がいなかった。
投手陣の底上げをしないとな」
(スポニチ名古屋)
●トニ・ブランコ
<4回1死、右越えにソロ本塁打を放つ。
せめてもの意地だった。大量リードを許したが、
いつもと変わらぬ集中力で獲物を待っていた。
初球の146キロをフルスイング。
気迫を込めた一撃が、G党で埋まる右翼席に飛び込んで>
「とにかく打たなければならなかった」
<レギュラーシーズンを含めれば今季41本目のアーチ。
開幕から全151試合で4番を守り通した。
来日1年目にして縦横無尽のフル回転。
最後まで主砲の役割を全うして>
「こんなに試合に出たことはなかった」
<試合後に去就について問われると、あらためて残留を明言。
早くも日本一を目標にぶち上げて>
「来季も中日でプレーするか? もちろん残るつもりさ。
目標は自分のなかに持っている。あとは神の思し召しです」
<本塁打、打点の二冠を手みやげに、
近日中にドミニカへ帰国する見通し>
「まずはしっかり体を休めたい。来年こそは優勝する」
(カメラブログ、中スポ、朝日新聞)
●荒木雅博
<5回1死満塁から中前へ追撃のタイムリー。
東野をKOして中軸へつなぎ、反撃ムードを大いに高めて>
「つなげばまだまだ何かあるかな、と思って打席に立ちました」
<敗れた試合後は悔しさで肩を落とした選手会長。今季を振り返って>
「(故障もあったが)やるべきことをしっかりやろうとした。
一生懸命やったが、負けた悔しさがある。
来年は勝ちたい。これから練習です」
(カメラブログ、中スポ、サンスポ、朝日新聞、毎日jp)
●森野将彦
<CS第2ステージに入ってから
3戦連続で先制打を放っていたが、この日は4打数無安打。
1点返してなおも5回1死満塁、越智のフォークの前に三振に倒れて>
「その前の甘い球を仕留めないと」
<試合後はすっきりとした表情で、来季に気持ちを切り替えて>
「巨人にやられた分、やり返そうとしたけれど、やり返されてしまった。
やることはやりきった。来年に向けてしっかりやるだけです」
(中スポ、朝日新聞)
●井端弘和
<打線をけん引し続けたが、
この日は勝利を引き寄せることができなかった。
5回の反撃では井上の出塁に続いて中前打し、
1死満塁の好機をつくったが、反撃は荒木の適時打まで。
雪辱を胸に球場を後に>
「来年は巨人を倒して(リーグ覇者として)CSに行きたい。
監督が前言っていたように、ひとりひとりが成長すれば勝てると思う。
キャンプ途中から抜けてよくやったと思います」
(中スポ、サンスポ)
●谷繁元信
<CSに入って好調でこの日も2安打。
だがチームの勝利に結び付かず、
試合後は正捕手として悔しさをにじませて>
「(レギュラーシーズンでは)
チーム防御率が3.1ぐらい(正確には3.17)で
貯金も19できたが、一発勝負で粘れなかった」
<FAに関しては大きな関心事ではなさそう>
「考えていない。考えると言っても…」
(中スポ)
●和田一浩
<クライマックスシリーズを振り返って>
「自分たちに足りないものがあったのかもしれない。
そのあたりをこれからゆっくり考えたい」
(中スポ、サンスポ)
●岩瀬仁紀
<第2ステージでは登板のチャンスがなく肩を落として>
「こればっかりは」
<今季は41セーブを挙げ3年ぶりにタイトルを奪回したが、
終盤は体調不良で登板できない日も多かったが、来季への抱負を口に>
「苦しかった。支えてくれたみなさんに感謝します。
(体調不良などを)出さないようにしたい」
(中スポ)
●英智
<今季FA権を取得したが>
「忘れていました。考えるかどうかも考えていません」
(中スポ)
●チェン・ウェイン
<来日6年目の今季は24試合登板、8勝4敗、防御率1.54で
最優秀防御率のタイトルを獲得した左腕が来季も残留する意向を明かす。
メジャーの複数球団が獲得に向けた調査を進め、
大物代理人からマネジメント契約などのオファーも届いたが、
この日、中日でプレーする決意を固めた。
すでに球団は契約更新の方針を固めており、11月中にも交渉を行う予定>
「迷った時期もありましたけど、中日が好きですから。
今のチームメートと優勝したい気持ちが強い」
(スポーツ報知)
●井上一樹
<現役最終打席は5回に代打で登場し、一塁ゴロに終わった。
だが執念が、この打球の処理を亀井に誤らせエラー。
井端、荒木の連打も呼んで、巨人ベンチを慌てさせたが、
最後まで追いつくことはなく>
「若干、つまってしまって。
1日でも長く、ユニホームを着ていたかったけど、負けてしまって残念。
引退発表から1カ月、ゲームをできたことが幸せでした。
野球が出来てうれしかった。みんなに感謝したい。
日本シリーズまで行きたかったけど、幸せなかたちだった。
というのは引退発表をしてからゲームができたんだから。
みんな一生懸命やった結果です」
<引退を表明したのが9月25日。
それからの1カ月間は非常に中味の濃いものだったに違いない。
試合後、帰りのバスへ向かうと外は雨。たっぷり感傷に浸って>
「物語ってるものが、なんかあるなあ。雨の日はよく打ったような気がする」
<これで現役としてユニホームを着ることはなくなった。
愛車の鍵などにぶらさげている数字の『9』をかたどった
アクセサリー類も、全部外すときがきた。
だが道は続く。今度は後進の指導だ。
来季、中日の育成コーチとして
第2の野球人生をスタートさせることがこの日明らかに。
投手として入団し、5年目に野手転向。
努力で主力選手への道をはい上がった20年間を球団も高く評価。
渡邉コーチや、外部からスタッフ入りする垣内哲也氏とともに、
強化を目指す育成部門を担当することになる>
「背番号『9』じゃなくなるのに、いつまでもつけているのは変だから」
(中スポ、サンスポ、時事通信、朝日新聞、毎日jp、スポニチ)
●野本圭
<『師匠』の最後の打席をベンチで目を凝らして見つめていた。
あこがれであり、打撃のイロハを伝授してくれた大切な存在。
CS敗退とともに、もう立浪と一緒にプレーできないという事実が、
その心中にポッカリと穴を開けていた>
「大きすぎる存在ですから」
<21日の巨人戦で放った一発は、まさに立浪との『二人三脚』の結晶。
1回、ゴンザレスの内角低め直球をとらえ、高々と右翼席にアーチをかけた>
「あのタマは以前だったら確実に詰まっていたはずです。
ホームランになったのはたまたまですけど、
あれをしっかり前に飛ばせるようになった。それだけでも収穫だと思うんです」
<即戦力ルーキーと期待されたこの1年。
苦しんできたのは速球、特に内角を突くスピードボールへの対処だった。
春先は内角を詰まらされ、ポップフライや内野ゴロの山を築いていた>
「プロの投手は内角ギリギリへ投げるコントロールがある」
<最も衝撃を受けたのは4月30日の東京ヤクルト戦での
イム・チャンヨンとの対決(結果は二ゴロ)だという。
150キロ超の剛球にレベルの違いを実感した>
「あの真っすぐが一番。すごいタマを投げると思いました」
<プロの壁に悩むルーキーへ、
常に『助け舟』を出してきたのが立浪兼任コーチだった。
連日のように打撃練習に付き添い、修正点をアドバイス。感謝して>
「『プロでやっていくには、そこ(内角)を克服しないとダメだ』と。
本当に立浪さんからはいろいろなことを教わりました」
<立浪の現役最後の日となったこの日、
自身は1回に左中間へ痛烈な二塁打を放った。
初体験のCSで存分に暴れまくり、今季を振り返る。
その成長した姿こそ、立浪への最高の『はなむけ』になったに違いない>
「濃密な1年でした」
(中スポ)
◆平沼打撃投手兼1軍用具担当
<立浪兼任コーチを支えてきた打撃投手が久々にフリー打撃に登板。
最近は右ひじを痛めて投球を控えていたが、志願して投げた。
99年からコンビを組んできた2人。
まるで会話するかのように、フリー打撃の時間は過ぎて>
「きょう負ければ(現役)最後になるかもしれないからね。
何とか投げられたよ」
(中スポ)
●立浪和義
<22年間のプロ生活が終わった。
現役最終打席は9回1死、代打のコールに
巨人ファンからも大きな拍手が巻き起こった。
そしてクルーンの前に左飛。
一塁をまわってヘルメットを取って応えると、
ベンチ前ではグラウンドに深々と一礼。
これが現役生活に別れを告げた瞬間だったが>
「巨人ファンからも拍手をもらって、ありがたかった。
(クルーンに仕留められた瞬間は)ああ、終わったなあって。
ここまで目いっぱいやってきたから何の悔いもない。
ここまで野球をやらせてもらったチームメート、
最後に声援を送ってくれた巨人ファン、中日ファンに感謝しています」
<ライバルチームをたたえて>
「ことしの巨人は強かった。日本シリーズも頑張ってほしい」
<腰痛だった9月30日の引退セレモニーの試合前。
監督室をノックして、スタメン出場を直訴。
落合監督の答えは『腰痛を悪化させたくない。
CSがあるから代打にしてくれないか』。
数秒後もう一度、頭を下げた。結局、一塁でスタメン出場。
わがままを許してくれた監督に応えたい。
その一心でCSでは第1、第2ステージ計7試合中5試合に、
すべて代打で出場し、計5打数1安打。
第1ステージ第3戦では試合を決めるタイムリー。
最後の最後まで輝いていた>
「絶対にCSで頑張ろうと思ったよ」
<今後は中日を退団、野球評論家として第2の人生を歩む>
「しばらくゆっくりしたい。
その後、お世話になった球界に何らかの形で恩返しができれば」
<幾多の記録と感動を残したミスタードラゴンズは、
2000安打を達成した思い出の東京ドームで
静かにユニホームを脱いだが、後輩たちに日本一の夢を託して>
「負けて終わるのは仕方ない。
ただ、自分は今年で終わるけど、あとは若い人たちにやり返してほしい。
悔しい思いをした選手にはこの悔しさを来年、晴らしてもらいたい。
巨人の選手にはおめでとうと伝えたい」
(中スポ、中日新聞、スポーツ報知、共同通信社、
時事通信、朝日新聞、毎日jp、スポニチ名古屋)
◆西川球団社長
<今季を総括して>
「負けたというのは、何か足りないものがあったということだろう。
ただよくやってくれたと思う。けが人も出たし。
(落合監督)本人は不満だろう。われわれ(フロント)も不満。
頂点を極めるのが目標だから。勝負には1位はあっても2位はない」
(中スポ)
●落合監督
<巨人に敗れて、2年連続でのクライマックスシリーズ敗退。
穏やかな表情でロッカールームを出てきた。
敗戦後約30分。ミーティングを終えると、
取り囲んだ報道陣にこう語りかけて>
「終わったんだから、話さなきゃな。
2009年は負けて終わったけど、
思いがけない風が1年間、吹きっぱなしだったというのが現実かな。
何をって? いろんなこと。
それはぼかして言ってるんだから、自分らで考えて」
<楽しいシーズンだった>
「楽しいじゃない。(評論家らがシーズン前に)
みんなBクラスを予想してくれて。
結果は(CS第2ステージで)負けたけど、
まだ伸びしろのある負け方。もう1回鍛え上げればいい」
<シーズン中、3連戦3連敗を4度も喫した巨人に、
このCS第2ステージでも1勝の後に、3連敗の決着。
相手との違いを聞かれと即答>
「巨人との差?何もないと思う。
今年は力がなかったが、来年は逆転する可能性は十分にある」
<球界論に転じて>
「契約社会なんだけど、ときには会社員のような扱いをして。
本来ありえない扱いが存在している。何が一番ベストか。
いまの球界のあり方は、(日本プロ野球誕生に尽力した故人の)
正力松太郎さんが目指したものか、聞いてみたい。
野球界そのものがどこへ行くのか知りたい」
(中スポ、中日新聞、サンスポ1、2、おおさか報知、
時事通信、朝日新聞、毎日jp、スポニチ名古屋、ニッカン、デイリー)
今日の公示。(24日)
◆セ・リーグ
【出場選手登録】
△中日 伊藤準規投手
【出場選手登録抹消】
▼中日 鈴木義広投手
(公式サイト、共同通信社)
●伊藤準規
<高卒ルーキーが8回に6番手で登板。
1番・坂本からの上位打線に臆することなく投げて、
1イニングを1安打無失点に抑える。
ポストシーズンで高卒新人が登板するのは
中日では1954年日本シリーズの空谷泰、
1988年の上原晃以来3人目の快挙。
スタンドのファンをうならせるに十分な投球内容だった。
ストレートの最速はラミレスに放った2球目の147キロ>
「どう抑えようとか、あまり考えてはいませんでした。
ただ、谷繁さんのサイン通りに思い切って投げました」
<松本には中前打を許したものの、
坂本、小笠原は速球勝負で詰まらせ、ともに中飛。
ラミレスは大きく縦に変化するカーブで空振り三振に切った>
「いい経験になりました。
(ラミレスから変化球で空振り三振を奪い)技のあるところを見せられました
こんな大切な試合で投げさせていただいて自信がつきました。
小笠原さんは差し込んだのが分かりましたし」
<初めて味わう終戦の悔しさとともに、
確かな手応えを名古屋に持って帰れるが、満足してはいない。
この日芽生えた自信は、きっと大きく成長する原点になる>
「出せるものは出し切ったと思います。
でもまだ完ぺきじゃない。来年はもっとチームに貢献したいです。
開幕から1軍にいられるのを目標にします。この冬が大切ですね」
(中スポ、共同通信社、朝日新聞、毎日jp)
ドラゴンズトピックス(24日)
◆増島委員長(NPB日本プロ野球組織・医事委員会)
<吉見がアンチ・ドーピング規定に違反して
正当な医療目的以外で
静脈への点滴を受けた疑いを持たれている問題で、
下田事務局長とともに、この日東京都内の
コミッショナー事務局で会見し、違反はなかったとの判断を示す。
医事委員会は吉見や球団関係者を事情聴取。
中日球団から7月以降のカルテの提出などを受けて審議していたが>
「医学的に正当な治療行為の範ちゅうにあると判断した。
医学的な診断に基づく、医師によってなされた治療だった」
<カルテには医師による診断名の記載があり、
疲労回復などが目的ではないと結論付けて>
「カルテに診断名が確実に記載されていた。
(点滴は)複数回行われていたが、
日常的、日課的に行われていたわけではなかった」
<医療行為と判断した根拠となる具体的な病名については>
「守秘義務があるので具体的なことは言えないが、
提出された全部のカルテを検討した。
(今後は)ケース・バイ・ケースだが、ルールに照らし合わせ、
正当な医療行為として医事委員会が認めるなら問題はない。
今回に関しては現場の医師の判断を尊重したいと思う」
<世界反ドーピング機関(WADA)では
点滴への厳しい制限を求めているが、その規定にも反していないとして>
「NPBの医事規定はWADAにのっとっている。
NPBのアンチ・ドーピング特別委員会で改めて判断する必要はない」
(中スポ、スポーツ報知、共同通信社、時事通信1、2、毎日jp、スポニチ名古屋)
◇西脇球団代表
<NPBの医事委員会から連絡を受けて>
「医事委員会の判断は妥当なものだと考えている。
球団としてはこれで終わりだと思っているが、
今後医事委員会から指示や指導があれば、対応したい。
(吉見の件は)誤解もあるようだが、
われわれは決められたルールでやっている。
(ドーピングの問題は)キャンプや新人教育で取り組んでおり、
今後は医師に講義してもらうことも考える。
中日球団として一層、ドーピング撲滅に真剣に取り組んでいく。
以前にも増して、アンチ・ドーピングに努力していきたい」
(中スポ、スポーツ報知、時事通信、毎日jp)